2012年01月06日

【ワン鍋賞 脱脂綿/絆創膏/松葉杖】

■脱脂綿・絆創膏・松葉杖を使った作品

雪降れば雪野のごとく脱脂綿 山田耕司
父の日の父に絆創膏を貼る 鈴木伸一
遠雷や乳房に隣る松葉杖 高柳重信

本日の闇鍋74723歌句の中で上記の各一句(3句とも俳句)しかありませんでした。


★本日の闇鍋データ数
総数74723(うち短歌44663、俳句19235、川柳10468 他)

半年前に検索した包帯・絆創膏のその後が気になり、ついでに関連語もあわせて検索してみたところ、上記の結果でした。
絆創膏は以前0でしたが、今回は1句出ました。
(なお 「バンドエイド」は短歌4あり。)

■他の関連語の結果

ガーゼ 短歌13 俳句2 川柳2 計17
ピンセット 短歌0 俳句2 川柳3 計5
オキシフル 短歌3のみ 計3
注射 短歌10 俳句0 川柳2 その他(都々逸)1 計13
白衣 短歌7 俳句2 川柳1 計10
聴診器 短歌11 俳句3 川柳1 計15
 ※ただし短歌11首のうち8首は同一作者。(実は拙作・笑)
 なお、このなかに石川啄木がいますが、明治時代の人は彼一人。この現象は毎度のことで、啄木の歌の語彙の広さに感心します。
包帯 短歌20 俳句5 川柳9 計34
 ※半年前の検索では合計30でした。
 ※啄木の歌は「思ふこと盗みきかるる如くにて、/つと胸を引きぬ―/聴診器より。」

★一つも歌句に使われていなかった語

診察・赤チン・ヨードチンキ(ヨーチン)・消毒薬
 ※ただし「消毒」なら短歌俳句川柳各1あり。
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2011年10月24日

【対決 春と秋の七草の歌】

せりなずなごぎょうはこべらほとけのざすずなすずしろ春の七草
はぎすすきききょうなでしこおみなえしふじばかまくず秋の七草

ご存知、七草を暗記するための実用短歌です。
でも、なんとなく春の七草の歌のほうが知られている気がします。
どうしてだろう? 比べてみましょう。

■1 意味内容:どちらも無内容で差はない。

■2 日常的ニーズ:これがたぶん一番大きな要因。
 どちらも、季節感を支える植物を覚える上で役立つのですが、七草粥は春だけ。つまり、春の方は、具体的に食べて味わうし、その食材を揃えるという実用面でも、この歌が役に立ってきたのです。(1000年ぐらいかしら?)

■3 歌の優劣:
 歌人としては、歌としても検証せずにいらりょうか。
 語感や音の流れは意味があればあまり気にならないけれど、このように無内容の歌ではむき出しになる要素です。どちらの歌も語調をきれいに整えてあり、姿の良い歌に見えるけれど、春のほうが、なんとなく言葉が滑らかで心地よいと思いませんか?

○春の七草
 「せり↑なずな↑」から「ごきょう↑はこべら→ほとけのざ/\」と展開して静かな波で情感(の雰囲気)が高まる。「ざ」ではじめて下がりますね。
 つまり、上の句は、ぽんぽんと軽く突き上げ、「ほとけのざ」で受け止める安心感が絶妙なのです。
 これを「すずな↑すずしろ↑」のリフレインの美しい“二た撫で”が掬い上げ、静かに、下りの多い「春の↓七草/\」の着地に備えるのです。

○秋の七草
 まず、 「き」が3つ続くのが言いにくいのは大きなキズ。
 冒頭「はぎ↓」 と下がりで入るわけですが、この場合、後ろでケアが必要になります。
 ひごろあまり気にかけませんが、上がる語感のほうがやさしく、下がる語はどちらかといえば言えば叱責に通じます。「コラ」とか「バカ」とか。(他の要素もあるから一概にはいえないけれど)
 (なお、なぜか日本語ではなだらかに山なりになる言葉のほうが安定した感じになります。5音以上の単語は、「三輪車」「金曜日」「脳天気」 など、なんでもいいんですが山なりが多いのですが、それと比べて、「コンサート」のように下がる言葉は、やや突き刺すようなキツさがある。外来語が多いみたいですね。)

 はじめの「はぎ↓」を「すすき↑」で掬い上げたはいいけど、けっきょく 「ききょう↑なでしこ/\おみなえし/\」の部分の山が小刻みで、叱責口調から抜けられない。冒頭の「はぎ↓」の下りのキツさをなだめるどころか、二回の↓が、むしろダメ押ししている。もう少しやさしく掬い上げてほしかったなあ。(笑)
 「ふじばかま/\くず↓」 ここももうおわかりでしょうが、まだ小言が続いているみたいな感じでしょう?(笑)

 そういうわけで、語感や音の雰囲気は、なんとなく春の七草の歌のほうがやさしく心地よく感じるのだと思います。

■4 その他の要素
○歴史の深さ?
 春の七草粥は古くからのしきたいで、少なくとも平安時代にはあったらしいです。

 「七草なずな 唐土の鳥が、日本の土地に、渡らぬ先に・・・・・」という呪文歌を歌って、包丁でたたくらしい。
 (この呪文歌は長い歴史を引き継がれて、なんと私の祖母の代まで伝わっていた。だのに、その娘(私の叔母)は覚えなかったのだ。なんというもったいないことを! 親不孝者めがーー。
 と、かくいう私も、正月料理なんか作れないし、高柳家に伝わる正月料理の秘訣とやらがあったのに、教わらなかったのだ――嫌だめんどくさい、なんて言っちゃったのだ・・・ああおばあちゃんごめん、ご先祖のみなさん、ごめん。)

 じゃあ、「秋の七草」は?
 こちらは、万葉集巻8の山上憶良(やまのうえのおくら)の歌にこう詠まれていますから、古さではひけをとりません。
  秋の野に咲きたる花を指折りかき数ふれば七種の花(1537)
  萩の花尾花葛花なでしこの花女郎花また藤袴朝がほの花(1538)

○まぎらわしさ
 実は、秋の草として代表的なものはこれにとどまらないのです。

 吾木香すすきかるかや秋くさのさびしききはみ君におくらむ 若山牧水
 
 また、鉄道唱歌では、

   くだる道には追分の原とよばるる広野あり
   桔梗かるかや女郎花秋の旅路はおもしろや

 と歌われています。「かるかや」を月見に供える地方があるとか、邦楽にも、秋の草を歌うもので「かるかや」が出てくるとか、秋の草はあの七草に確定できないゆえに、憶えにくい面もあると思います。

 和歌は文字のない時代からあったものなので、(つまりメモ帳がないんだから)、和歌の詩としての芸術性は、覚えやすさという実用性から洗練された面があろうかと思います。
 (実用品はフォルムや見た目、手触りなども洗練されていることが求められますよね。愛用の財布や手帳は見た目や手触りも大事でしょ?)
 
★オマケ 近作

日曜が暮れる罪状は何でもいい思い出の場所で逮捕されたい

※本日思い出した罪:先祖から伝わる料理を覚えなかったこと。(笑)


posted by tyouseki at 17:52| Comment(44) | TrackBack(0) | ひまつぶメモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月18日

【ワン鍋賞 巨人軍 ニャン鍋賞 皮膚科 ほか】

川柳の樋口由紀子さん経由で、川柳データをたくさんいただいた。
いろいろ検索してみたら、鍋賞をいくつも見つけた。
その他、最近の検索結果から、用例の少なかったケースをアップします。

■本日の闇鍋データ数
総数73955(うち短歌44563、俳句19035、川柳10008 他)

■ワン鍋賞 巨人軍(ジャイアンツも含めて検索)
巨人軍、あるいは球団名としての「巨人」を詠みこんだ句歌はこれ一つだけでした。
※「巨人の星」は除く。

自転車も読売巨人軍も不滅 石田柊馬(川柳)

■ニャン鍋賞 皮膚科

紅葉の具合を見せに皮膚科まで 丸山進(川柳)
夕暮れの皮膚科に鶴が舞ひ降りてピアスをしてといひにけるかも 池田はるみ(短歌)

■ニャン鍋賞 いくじなし

いくじなしめしのうまさを知っている 石田柊馬(川柳)
本当におかっぱにって何回も云ったのに、意気地なしの床屋め 穂村弘(短歌)

■ニャン鍋賞 脱水機

脱水機が故障したのは月夜のせい 樋口由紀子(川柳)
腕組みをして僕たちは見守った暴れまわる朝の脱水機を 穂村弘(短歌)

※「脱水」だけで検索しても、次の二つが加わるだけです。

脱水の済んだシーツに残る水 敗因はこれだなどとは言えぬ 中沢直人(短歌)
脱水し脱臭し夏の草食男子 鈴木伸一(俳句)

■ニャン鍋賞 風邪薬 (カゼ薬なども含めて検索)

分銅と釣り合つてゐる風邪薬 西原天気(俳句)
石仏の頭に置いた風邪薬 山本忠次郎(川柳)

■ニャン鍋賞 シーチキン
シーチキンサラダはセコムしてますか 石田柊馬(川柳)
シーチキンサンドをふかくほおばってぽろぽろひざにこぼすしあわせ 芹沢茜(短歌)

この他、意外と少ないと感じた単語

■マヨネーズ

お互いの弱点に塗るマヨネーズ 丸山進(川柳)
少年は少年愛すマヨネーズ 倉本朝世(川柳)
マヨネーズ色の頬もつ友人と火曜のランチを食べにゆきます 東直子(短歌)
マヨネーズ容器のなかで矢野さんのこむら返りがときどき育つ 鈴木有機(短歌)

「マヨネーズ」は以下の4つがあったが、日常目にするもので、詠み込みにくいとも思えず、それにしては少ない感じ。俳句がなかったのも意外。

■おもちゃ箱

大義なら大人のおもちゃ箱にある 丸山進(川柳)
ばらばらの父が出てくる玩具箱 定金冬二(川柳)
愛なんてすっからかんのおもちゃ箱アリさんもロバさんも今は留守です 江田浩司(短歌)
嘘つきの弟も悪い人形も呑んであたしを待つおもちゃ箱 高柳蕗子(短歌)

なんとなく好まれそうな語なのに4つというのは意外。